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実験434・752 火は熱くない?(気化熱)状態変化と温度(沸点上昇・凝固点降下)

炎の実験は、すべて気化熱がポイントになります。これは、液体が気体になる時に周囲から吸収する熱のことです。水は液体から気体になる時に1g当たり、532cal(44kj/mol)程必要になります。エタノールやアセトンなども同じように周囲の熱を吸収します。

​実験1:熱くない炎

材料

アセトン、水、ビーカー2つ、エタノール、ピンセット、1000円札

写真のように左から水、アセトン、アルコールランプを用意します。初めに手に水をたっぷりつけて、その後に指先にアセトンを浸します。その後手に火をつけると写真のように燃えます。

燃えるアセトンではなく、初めに手の回りにつけた水がこの実験のみそです。物が燃える時には当然、熱を発します。この時に水とアセトンも加熱されて、液体から気体に状態変化します。その際、気化熱によって周囲から熱を吸収しますので、我慢できます。熱くなったら、手を握って火を消して平然とした顔をして下さい。手を振りますと炎が飛び散ります。分量は決して多くしないように!

​実験2:燃えない紙とハンカチ

​材料: エタノール65~70%、ハンカチ(周りの繊維が出ていない)、不織布、紙、ガーゼ

​エタノールを70%程度に薄めます。これを紙や布につけて燃やすとエタノールはすぐに燃え尽き、紙や布はそのまま残ります。(細かい繊維が飛び出ているとその部分が焦げます。不織布が使いやすいです。布を使うときは周りを折り返して縫っておくとよい。)お金の紙もしっかりしているのでできますが、授業ではちと問題では?

​エタノールの炎は透明で見にくいので、食塩を溶かしておいてオレンジ色の炎になるようにして下さい。

​実験3:燃えない紙その2

​材料: 丈夫な和紙(周りから繊維が出ていない)なければ紙皿、紙コップ?

紙皿に水を入れて火にかけても燃えません。紙コップでもできますが、紙コップには余計な突起がある為に、穴が開くこともあります。もちろん紙を自分で折ってもできます。紙鍋です。これは水は沸騰しても100℃までしかなりませんから、水と接触している紙は100℃以上にならず発火しないためです。風船でも中に水が入っていればしばらくは大丈夫です。折った箱では余分な突起の部分から燃えてしまい水漏れが多くなります。紙鍋で使用している紙は和紙で目の細かい丈夫なものを使っています。

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​実験4:熱くないお湯

​霧吹きに70度程度のお湯を入れます。入れ物はとても熱いです。30㎝程、離して霧吹きで手にお湯をかけます。驚くほど冷たいです。

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​実験5-1:恐るべしアイスキャンデーとベッコウ飴!?(不純物と凝固点降下・沸点上昇)

​水が氷になる温度は0度、沸騰する温度は100度(1気圧時)を基準として摂氏℃という温度を決めました。これは純粋な水の場合で、不純物が入ると話は変わります。ベッコウ飴は砂糖を、アイスキャンデーも砂糖やミルクが入っています。科学クラブで食べる前に温度変化についても触れてみたらいかが?

​材料: 水、砂糖、加熱器具、温度計 水、食塩、温度計

氷に食塩を多く混ぜて、少しだけ水を加えます。温度はご存じの通りマイナス20度近くまで冷えます。食塩水は温度がマイナスになっても凍りません。おなじみの凝固点降下の実験です。

凝固点2.png
凝固点3.png
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​液体が固体に変化する時のグラフです。黒い線が水の場合、赤は食塩水です。このようなグラフになるのは食塩水に溶けている食塩(NaイオンとClイオン)が水の状態変化を邪魔するからです。沸騰する時に蒸発したい水分子の邪魔をし、蒸発する数を減らしてしまいます。また、氷の結晶となることも邪魔をして、より大きなエネルギーを必要にさせます。その為に、0度では凍らなくなり沸騰しても100度以上に温度が上がります。塩化カルシウムを凍結防止に道路やグランドにまくのもこの原理を応用しています。

凝固点降下グラフ.png
蒸発・結晶.png
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グラフの過冷却の部分ですが、ゆっくりと均一に冷やすと、水でも食塩水でも固体になる温度以下までに下がります。最初に凍る氷核ができるにはエネルギーが必要です。きっかけとなるエネルギーがない為に、こうなります。よくペットボトルから水をこぼした瞬間に凍る実験があります。この実験では、きっかけを与えない為、ペットボトルの水を2,3日放置しカルキを抜いた後にタオルでくるんで冷凍庫に4,5時間入れます。氷核ができにくくなります。こぼしたショックをエネルギーにして凍ります。

​実験5-2:恐るべしベッコウ飴とアイスキャンデー!?(不純物と凝固点降下・沸点上昇)

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​砂糖水を加熱していくと、100度を超えます。これは砂糖分子が水が蒸発することを邪魔するためにより大きなエネルギーが必要になるためです。ベッコウ飴の実験をよくやると思いますが、溶けるテイル最中の温度にも触れてみてはいかが?工作で使う(はんだ)はスズと鉛の合金です。スズの融点230度・鉛融点327度を63:37で混ぜると183度の融点になります。混ぜる割合を変化させると温度も変化します。ベッコウ飴と合金!親戚なんですね!

​実験6:温度の変わるゴム(状態変化?と温度の実験)

​輪ゴムを使った、簡単な実験です。次の図のように唇の下に輪ゴムを当てて伸ばしたり、縮めたりします。伸びた時に熱くなり、縮めた時は冷たく感じます。唇の下は温度に敏感なので感じることができます。正確には状態変化ではありませんが、構造が変化することで起こります。

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​物質が固体液体気体の時に分子の状態は下の絵のようになります。固体は分子同士がしっかりと結びつき振動している。液体は分子がある程度自由に動ける。気体は全く自由です。分子の持つエネルギーを考えると、気体が一番高く、固体が一番小さくなります。

液体が気体になる時、周囲の熱を吸収します。これを気化熱といいます。分子が気体になるには周りとのつながりを断ち切り空間に飛び出すので、エネルギーをもらい飛び出します。この時に周りの熱を吸収してしまいます。

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ゴムの場合は無理やり、分子の並ぶ状態を変化させています。ゴムはポリイソプレンという沢山の分子が長くつながりひも状になっています。そのひもどうしを硫黄がつなげていますが、このつながりは柔軟性があるので伸び縮みができます。上の図を見てください。外から力が加わることで、ゴムが伸びます。今まで分子同士の距離があったものが密着します。分子が動けなくなるので、持っていたエネルギーを放出します。この時に皮膚は熱く感じます。逆に縮めると分子が自由になります。周囲から熱をもらい冷たく感じます。

​では、ゴムを温めるとどうなると思いますか?正解は縮みます。普通物質は温めると伸びると思いますよね。ちょっと意外ではないですか。これはゴムの独特な構造によるものです。上の説明から考えてみてくださいね。

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