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プラスチック実験①(牛乳からプラスチック・プラスチック繊維作り他)

​プラスチックはその耐久性や成型のし易さから必需品になっています。一方その処理の難しさから環境問題になっています。今回は生分解プラスチックの一つカゼインプラスチックを作ります。

実験1:牛乳から作るカゼインプラスチック

​材料:牛乳200ml、お酢20ml、ガーゼ、電子レンジ

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牛乳200mlを60~70°に加熱してお酢20mlを加えると牛乳中にバラバラであったカゼインの電気性質が弱くなりくっつきます。これをこしたものが、カッテージチーズです。

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​このカッテージチーズを何回か電子レンジで加熱し、水分を蒸発させ、固めたものが生分解性のカゼインプラスチックです。強度は十分あり、しかも土中に埋めると分解されてしまうという利点を持っています。もちろん、電子レンジを使わずに自然に乾燥させてもプラスチックになります。

生分解性でめでたし、めでたし、と行けばよいのですが、問題点が山積みです。実際に使う場合にコストが高い点にあります。2000年頃は数倍していた生分解性プラスチックも、現在、ものによっては数十%程度のコスト差(2019年農業用マルチシート比較)になっています。また、多くのバイオプラスチックはトウモロコシなどの穀物のでんぷんから作られます。製造過程で二酸化炭素の排出と食料問題も考慮しなければなりません。PVAは石油由来のプラスチックですが生分解性を持っています。いろいろな方面から研究されています。

​まぎらわしい言葉を整理します。プラスチックとは加熱により変形可能・可塑性ということであり、石油由来ということではありません。次に生分解性とは微生物により分解されるということです。石油由来のPVAも生分解性プラスチックの一つです。バイオプラスチックというと生分解性と勘違いしやすいのですが、ものによりけりで、生分解性のものとそうではないものがあります。この辺りを整理して考える必要があります。また、プラスチックのリサイクルについても下のリンクから見てください。

実験1-2:生分解性プラスチックで偏光板を作ろう

​生分解性プラスチックというと縁のない感じもしますが、意外と身近にあります。洗濯のり・アラビアのりの原料やフィルムなどいろいろな用途にPVA(ポリビニールアルコール)という生分解性を持つプラスチックが使われています。ただし、このプラスチックは石油由来です。ですから、生分解性=バイオプラスチックではないのですね。今回はPVAで偏光板を作ります。

​材料:PVAのり、ヨウ素液

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​洗濯のりをプラスチックシートに広げます。充分乾燥したら8㎝四方位に切り、ヨウ素液に浸します。

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​ぬれている状態で3~4倍に伸ばし、そのままの状態で乾燥させます。紙に貼り付け完成です。2枚の偏光板を同じ方向どうしに重ねても光はとおりますが、90度回転させて重ねると写真のように光を遮断します。原理等、詳しくは偏光板の実験5連発のページにどうぞ。

実験1-3:生分解性プラスチックの生成

​材料:乳酸5ml、アルミホイル、ビーカー、乾燥機

乳酸菌は糖を乳酸という物質にします。これを乳酸発酵といいます。(C6H12O6 → 2C3H6O3 + エネルギー)。この乳酸を多数つなげるとポリ乳酸というプラスチックができます。

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​トウモロコシを乳酸菌などの微生物群で発酵させてL乳酸を抽出します。L乳酸をアルミカップに入れ、さらにビーカーに入れて穴を開けたアルミホイルをかぶせます。180℃に設定した乾燥機で12時間加熱する。L乳酸は重合してポリ乳酸になる。この実験は愛知県立三島高校の八木先生のレポートから引用しています。下のリンクよりご覧ください。温度管理が難しく家庭ではできないので紹介だけにします。200℃なら10分でよいそうです。ホットプレートでもできるかもしれませんね。

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実験2:プラスチックから繊維を取り出そう。

​材料:PP(ポリプロピレン)ストロー、先を細くしたガラス管、ピンセット

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​ガラス管の先を細くします。バーナーで軽くあぶります。そこにPP製のストローを入れ、先端が出たら一気にピンセットで引っ張ります。5,6mは軽く伸びます。このことから生徒にはいかにプラスチックが便利であるかを考えさせるとともに、現在の問題にも目を向けさせて、どのように解決するべきかを考えさせます。尚、リサイクルについては、プラスチックの実験②の方へどうぞ

実験3:プラスチックのように使える圧縮木材

​木材は加熱すると、かなり自由に変形ができます。それを利用したおもちゃおひとつです。

​材料:割りばし(木材)、ビーカー、お湯、五円玉、ラジオペンチ

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木材で矢の形を作ります。お湯に1,2分入れて柔らかくします。ラジオペンチで押しつぶしながら五円玉に通します。完成です。このように木材は簡単に圧縮することができます。乾燥後元に戻るのでどうやって穴に通したかというおもちゃです。

圧縮したままで使用する圧縮木材は元の大きさの1/4になります。耐性も優れ、強度も増すことから、本来木材では使えない場所など、いろいろな場所で利用されています。特に針葉樹は強度が上がります。プラスチックの代用としても考えていきたいものの一つですね。ただ、やはり問題はコスト面です。

​圧縮木材の使用例

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​圧縮木材はその特性から、タイルのように使用したり、長期の屋外使用にも耐えることができます。ですから、なんでもプラスチックではなく柔軟に考えたいものですね。

​名古屋木材株式会社      株式会社ウッディークラフト

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