top of page

化学変化と色の実験5連発:酸化還元・温度・溶液と色の変化

物質の色は太陽光などを反射した色が見えています。どの色を反射するかは、その物質の構造と大きく関係しています。化学変化によって物質の構造が変化すると、色が変化します。指示薬などはみなこの性質を使って色が変わります。これを構造色といいます。

​実験1:酸化還元による色の変化①(実験832)

​材料:ブドウ糖4g、水酸化ナトリウム2g、メチレンブルー少々、水200ml、ペットボトル

113.jpg
114.jpg
115.jpg

​水200mlに、水酸化ナトリウム2gをよく溶かします。そこにブドウ糖を4g加えて、メチレンブルーを少量加えます。はじめ液は、青色になりますが、しばらくすると透明に戻ります。これを振るとまた青色に変化します。メチレンブルーはもともと青色です。ところが水溶液中のブドウ糖は還元糖でメチレンブルーを還元してしまいます。それによって構造が少し変化し、無色になります。振ると空気中の酸素によって、酸化されまた元の青色になります。

​実験2:酸化還元による色の変化②(実験832)

​材料:ブドウ糖4g、水酸化ナトリウム2g、インジゴカーミン、水200ml、ペットボトル

116.jpg
117.jpg
118.jpg

​同じように、水200mlに水酸化ナトリウム2gを完全に溶かし、ブドウ糖を4g、入れます。そこにインジゴカーミンを少量入れます。緑に色づきますが、やがて赤茶色から黄色になって安定します。これを軽く振りますと、赤茶色、さらに振ると緑色に変化します。ボトル中の酸素によって酸化されて、色が変化します。しばらくするとブドウ糖によって還元されて元の黄色に戻ります。

​ならば、他の指示薬でもできないかと考えますが、構造の変化の仕方が酸素やブドウ糖によらないものは色が変化しません。

​実験3:温度変化によるヨウ素反応の色変化(実験836)

​材料:でんぷん水溶液、ヨウ素液、加熱器具、氷水

​ヨウ素反応は、なじみの深い反応です。でんぷんのらせん構造中にヨウ素が入り込み、構造が変化することで発色します。温度を上げると色は消え、下げるとまた元に戻ります。何度でもできます。

色1.jpg
色2.jpg
色3.jpg
色4.jpg

​でんぷん水溶液にヨウ素液をたらすと青紫色になります。これを加熱すると写真のように透明になります。氷水につけて、温度を下げるとまた青紫色になります。何回でも繰り返すことができます。

​実験4:サーモインクの色変化(実験836)

​材料:サーモインク、加熱器具、消せるボールペン

色5.jpg
色6.jpg
色7.jpg

​小学校でおなじみのサーモインク。これも、温度変化で構造が変化することによって色が変化します。また、消せるボールペンフリクションペン。これは専用ゴムによる摩擦での温度上昇で消えます。常温の範囲で冷えても元には戻らないようになっています。ー10~+60℃の範囲では色が変化しないようになっています。

2.jpg
1.jpg
iro8.jpg
iro 9.jpg
3.jpg
4.jpg

このパイロットのインクはカプセルの中に染料と顕色剤の入った2つのカプセルが入っています。常温-10~+60℃ではカプセルが結合したままで色が出ます。60℃を超えるとカプセルが離れて色が消える仕組みになっています。この温度は分子構造の違いで変化させることができます。最近はマニュキュアでも気温によって色が変わるものがあります。

7.jpg
8.jpg
9.jpg

​詳しくはパイロットのHPへどうぞ

​実験5:指示薬の色変化(実験641紫キャベツ指示薬を作ろう)

​材料:紫キャベツ(朝顔、立ち葵、ナス、ブルーベリー、ハイビスカスなどアントシアニンを含む植物)

色10.jpg
色11.jpg
色12.jpg

​アントシアニンという物質は、酸性・アルカリ性などの液性によって構造が変化します。そして、きれいな色をを見せてくれます。水またはお湯もしくはエタノールで抽出してぜひ試してください。

​実験6:光による物質の色変化(紫外線ビーズ)

​材料:紫外線ビーズ(ナリカなど教材会社)

DSC_0097.JPG
DSC_0098.JPG
DSC_0099.JPG

​紫外線ビーズを室内に置くと白色です。これを屋外に出すと様々な色に変化します。ビーズの表面にフォトクロミック色素が塗られています。この色素は紫外線の作用で構造が変化します。紫外線の遮断、または温度変化により元の構造に戻ります。構造の違いで色が変化します。1800年代に発見されたそうです。構造式等は下のリンクよりご覧ください。

​さて、たくさんの色の変化を扱いましたが、このように構造が変化する物質をクロミック物質といいます。温度で変化する(サーモクロミック)、紫外線で変化(フォトクロミック)、電気によって変化する(エレクトロクロミック)などいろいろあります。中でもエレクトロクロミック物質で注目されているものがあります。以下にリンクを貼っておきます。

bottom of page