消化の実験2つ:消化の仕組み&消化器官の観察
生物の重要な活動の一つに消化吸収がありますが、解剖とだ液の採取は生徒にとってはトラウマになることもあります。抵抗を少しでも和らげるために、煮干しを使い、だ液の代わりに消化薬と大根を使います。
実験1:煮干しの解剖(実験851)
材料:煮干し、ピンセット
柔らかくするために、煮干しを30分程水につけて、新聞紙にくるみレンジで1分半ほど加熱しておきます。
体の外側から、ひれの付き方や役割、目・側線・生活環境の話をします。頭と胴体を分けます。頭を二つに分け、えらとさいはを観察します。食べ物と呼吸について話します。頭から目・脳・耳石を取り出します。耳石は小さくてわかりにくいです。
心臓は肝臓にくっついている三角形の形をしたものです。一心房一心室であまり能力は高くありません。肝臓に隠されて胃があります。小腸はチューブ状になっています。消化器官の話をします。
胃の内容物を顕微鏡で観察すると、生活環境・食性が分かります。エビカニなどの幼生などが多く見ることができます。とても良い教材ですが、大きい煮干しは意外と値段が張るのが難点です。
実験2:消化薬はさすがだね。デンプンに対する酵素の働き(実験855)
材料:デンプンのり(なければ片栗粉)、大根おろし、消化薬(ジアスターゼ)、ガラス器具
消化薬にはジアスターゼ(アミラーゼ)が含まれている。また、大根おろしにもアミラーゼは含まれている。これらを用いて消化の実験をおこなう。
うすいデンプンのりを用意する。試験管に1ml程とり、左から水、大根おろしのしぼり汁、消化薬を入れる。今回使用した三共製薬の胃薬は茶色であった。
37℃ぬるま湯で5分間温め、デンプンが残っているかヨウ素反応で調べる水は青紫・大根おろしは少し青紫・胃薬は茶色であった。続いてベネジクト反応を調べる。上の写真のようになる。もちろん、この実験でだ液の実験を飛ばしてしまうわけにはいかないが、酵素を広く考えるためにおこなう。発酵食品・野菜・果物にはいろいろな酵素が含まれており、これらの酵素が人間の消化を手助けすることで、人間の酵素不足を補い、代謝や免疫の低下を防いでいる。酵素は消化以外にも体のいたるところで生命活動の維持を支えている。