日時計・方位磁針・マイ地球儀を作ろう
規則正しい、自然の動きの一つに天体の運動があります。それを利用した日時計作りをおこないます。補正まではあまり考えずに、太陽の動きをつかみます。
実験1:日時計を作ろう(東京都及び周辺用)
材料:竹ひご、画用紙、定規、方位磁針
今回は、日時計についてお話します。一度はどこかで見かけたことのあると思います。単純な作りですが地球の自転を扱う教材としては素晴らしい物です。作り方は簡単です。
地球自身が一日に地軸を中心に西から東に一回転することを自転といいます。今回はこの自転を利用します。
日本の上に住んでいる私達は地球が自転しているとは実感できませんが、常に同じ速さで東に向かって動いています。
電車が前に進めば窓から見える建物は後ろに行くように、太陽が西の方向に動いて見えます。
この動きは一時間に正確に15度です。後はこの影を文字盤に映るようにします。
最も簡単なものは上の写真のように円盤に竹串をさしたものになります。これは地軸と竹串が平行になるようにしてあります。すると真ん中の図のようになり、太陽が竹串を中心に回転しているように影が文字盤に映ります。ただし、竹串と円盤の角度がずれやすいので、もう少し補強します。文字盤を回転できるようにするとその場所の南中時刻の季節変化に合わせて補正が簡単になります。この実験の時は南中時刻が11時46分でした。
工作用紙に文字盤を貼りつけます。東京ですと11:46が南中時刻(季節により変わります。)ですので、そこが真下に来るように貼ります。表側にも夏用の文字盤をつけます。PSボードで工作用紙が55°になるように固定します。
竹串を刺すとちょうど竹串が地軸と同じ35°の傾きになります。冬は内側の文字盤に影が映り、夏は外側の文字盤に竹串の影が時刻を示します。文字盤は下のPDFファイルからダウンロードして下さい。
日時計の誤差について
経度による違い 北緯による違い 方位磁針の磁北と真北
経度によって南中時刻が変わります。東京は明石より16分早い。私は長年、明石市で南中した時を日本の12時と思っていましたが、実際には世界標準時の9時間前を明石市にすることになっています。季節によって明石市でも南中時刻は変化しています。東京で作る場合は旧国立天文台の南中時刻を調べて、作るとよいと思います。:北緯が違う。竹串を北緯の角度にする。太陽を竹串を中心に回転させるために北緯と合わせます。
このようにその場所場所で東経や北緯や偏角が違うためにその場所専用に日時計を合わせる必要があります。また、地球の軌道が楕円形であることや黄道の傾きからも誤差が生じます。その補正に均時差表を用いて補正しています。下に鹿児島での南中時刻の年変化を表にしてあります。縦軸は南中時刻です。鹿児島は明石市よりも西に位置するため、南中時刻が常に12時を過ぎます。このような南中時刻の変化を見て、文字盤の下に来る場所をずらすことが一番正確な補正になります。
実験2:方位磁針を作ろう
材料:ストロー、スチールウール、アルミホイル
方位磁針ですが、作り方は色々ありますが、これが一番良いと思うものはなかなかありません。もしフェライト磁石が手に入るなら、上の写真のように、糸をつけてぶら下げることが一番簡単です。下の写真は、左から棒磁石を浮かべたもの、ドーナッツ磁石をスチロール球ではさんだもの、針をつるしたもの、スチール缶を切り、画びょうの上に乗せたもの、どれも一長一短ですが、スチール缶を切り出したものは手間がかかるという難点がありますが非常に良いものになります。作り方は下のPDFファイルにのせておきます。鉄・コバルト・ニッケルは磁化されます。これらを容易に動くように置くと南北を指します。
今回は容易に手に入る、ストロー、アルミホイル、スチールウールで方位磁針を作ります。
3㎝程度に切ったストロー、アルミ箔、スチールウールを用意します。スチールウールをアルミにくるみ、ストローに押し込みます。ストローの両端をあぶってふさぎ、磁石を使って磁化させます。水に浮かべれば完成です。ストローをふさぐ時にはラジオペンチではさみながら火であぶります。冬場は静電気が強く、入れ物にくっついてしまうことがあります。
言いにくいのですが、方位磁針の指す北は正確には北からずれています。東京では約7度程西にずれています。これを偏角といいます。詳しくは、国土地理院へ
実験3:マイ地球儀を作ろう
材料:ピンポン玉
画像をシールに印刷し、ピンポン玉に貼りつけるだけですが、自分のものを持つことで生徒は興味関心が上がります。これは、沼津工業高等専門学校の佐藤先生のHPからダウンロードできます。
また、世界地図からオリジナルの地球儀を作りたい方は、BeagleGraph というサイトに行ってください。下のように指定していくと、オリジナルの地球儀の展開図が作成できます。
また、多面体で紙に印刷しそのまま地球儀としてつくることもできます。globe.exe というサイトに行き、ソフトをダウンロードします。下の写真は正八面体で作りました。これですと小学校の低学年でも組み立てられますし、ピンポン玉を必要としません。
地学教材に限らず、自分用の実験器具を持つことは児童生徒の興味関心を大いに刺激します。いずれも費用はあまり、かかりませんので、ぜひやって見てください。