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顕微鏡の実験6連発:ミクロメーターの代用・落射照明法・簡単偏光顕微鏡・染色液・手入れの方法・顕微鏡写真

​顕微鏡の実験は、子供達を科学にいざなう最高の実験の一つです。このページでは色々な使い方などを紹介していますが、ぜひ、ガラス玉顕微鏡など自分で工作し、原理を理解させて欲しいものです。

​実験1:簡易ミクロ(マイクロ)メーター

​顕微鏡で観察している対象の大きさがどのくらいなのか気になると思います。マイクロメーターを用いて測ればいいのですが、一組数千円しますし​、扱い方を教えることで中学生ですと1時間かかってしまいます。そこで定規を使い試料の大体の大きさをつかみます。

​材料:定規、顕微鏡

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まず定規を低倍率で見ます。100倍ですと1㎜強、1.3~1.4㎜程度が視野の直径です。必ず使う顕微鏡ごとに測定してください。右の写真は玉ねぎの細胞です。10個程度横に並んでいますので、一つの細胞の長さは0.1㎜程度です。100μm位(このμmという単位も中学生には難しいです)になります。

​100倍の時が1㎜ちょっとの直径まで見えている。そうすると400倍ではその1/4の直径になる。が基本になります。

​実験2:落射照明による立体感

​双眼実体顕微鏡があればよいのですが、ない時に普通の顕微鏡でも、立体的に見ることができます。落射(落光)照明法といいます。しぼりを完全に閉じて、下の写真のように対物レンズのななめ上から光を当てます。

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​光が上からくるので、陰影ができます。その為に立体感を感じます。次の写真は硬貨です。何か古代遺跡か何かに見えませんか?その隣が布です。繊維が非常によく見えます。昆虫や植物の観察に適します。

​実験3:手作り偏光顕微鏡

偏光顕微鏡を使って岩石プレパラートを一度は生徒に見せたいものである。偏光板(8㎝四方数百円)さえあれば簡単!偏光顕微鏡の本来の使い道は岩石の成分の特定、プラスチックの結晶構造のひずみなどを調べることです。ここでは結晶の種類や作りの違いによって色が変わるということだけにします。

​材料:偏光板、岩石プレパラート、顕微鏡

偏光板を一枚は円形に切る。それを接眼レンズの中に入れる。もう一枚は岩石プレパラートの下に置く、あとは顕微鏡で見ながら接眼レンズを回転させます。もちろん、鉱物を特定するにはもっときちんとした顕微鏡が必要です。しかし、偏光顕微鏡の仕組みを体験させるには充分ではないでしょうか。

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​実験4:手作り染色液(200円で出来る酢酸カーミンの代用品)

細胞の観察で必要な染色液ですが、酢酸カーミン液ですと50mlで4000円程度します。常備してあれば良いのですが、今回は非常に安価な染色液のを紹介します。一般に染色液に使われるのは塩基性色素です。これは水溶液中で+のイオンになり、核や染色体が-の電荷をもつために引き寄せられて染色します。しかし今回使用するタール系色素は塩基性ではないため、染色の仕組みが異なるようです。時間がたつと細胞質も染色されてしまう欠点があります。しかし、普段の実験には充分に使えますし、何と言っても安いのが魅力です。

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食紅の赤色(赤色102号)を食物酢に溶かします。100mlのお酢に薬さじの小さいほうで少量入れるだけです。生徒実験でしたらこれだけで十分です。もし細かい浮遊物があるようでしたら、加熱溶解し、ろ過して下さい。尚103号は溶け方が上の写真のようにあまりよくないので102号を使うようにしてください。

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​食紅は他の国でも手に入ります。アフリカで使った食紅は時間がたつと細胞質まで染色してしまいます。左の写真はこの後全体が赤くなってしまいました。不向きでした。赤色102号が一瓶で100円程度ですからお勧めします。

​染色の仕組みは、物質が電気的に引き合うことで起こります。塩基性色素は、水溶液中でプラスの電気を持っています。核や染色体はマイナスの電気を持っているのでイオン結合によって赤く染まります。これ以外にも水素結合や分子間力によって結合するものもあります。

​実験5:顕微鏡を手入れしよう

生物実験でなくてはならない顕微鏡です。しかし、メンテナンスの予算をとれずに古い顕微鏡を廃棄してしまうことがあります。何と勿体ない話ではないでしょうか。少し手入れすれば使えるのに・・・簡単な手入れについてお話します。

​まず、レンズの掃除です。ブロアーでほこりを飛ばします。こびりついた汚れは、爪楊枝でけずります。レンズのふき取り用の紙があれば、爪楊枝に巻いて内側から渦巻き状に拭きます。エタノールーをつけてさらに拭きます。接眼・対物両方をします。接眼レンズは分解してもよいです。対物レンズは分解しないほうが良いと思います。部品が多く間違って組み立てると使えなくなります。

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​ステージが自重で動いてしまうときは、粗動ねじを両方一緒に時計回りに占めます。

​実験6:手作り、スマホ顕微鏡撮影機(デジカメもね)

​材料:プラスチック板、フィルムケースなど、両面テープ

​顕微鏡写真は、鏡筒に合う大きさの筒を用意してスマホを固定して取ります。フィルムケースが使いやすいので、ぜひ活用ください。

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​プラスチック板に穴をあけて、フィルムケースもくり抜きます。フィルムケースのフタをプラスチック板の穴に合わせて、貼りつけます。そこに筒をつけます。スマホ固定用に両面テープを貼っておきます。使わないときはフィルムケースの筒を取り外しておきますとかさばりません。

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​撮影時は密着させて撮ります。最近のスマホは解像度がデジカメよりも優れていますので、とても良い写真が撮れます。デジカメの場合はペットボトルのキャップなどレンズの口径に合う筒をはめ込み、そのまま撮影します。

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