音に関する実験③:音の伝わり方(気体中・固体中)
気体中を伝わる音の変化の実験としてはヘリウムガスを使って声が変わる実験が有名です。生徒も一度は高くなる声を聞いたことがあると思います。それを利用して気体の質量と音の伝わり方の実験を二酸化炭素を用いておこないます。
実験1:気体中を伝わる音の高さ
材料:筒(又は試験管)2本、二酸化炭素
上の写真のように同じ長さ、太さの2本の筒を用意します。一本には二酸化炭素を入れます。もう一つは空気です。①生徒にヘリウムガスを吸った時の声を思い出させます。(高くなること・ヘリウムは軽いこと)②何度か空気の筒を写真のように吹いて音を記憶させます。③空気・二酸化炭素・ヘリウムの重さの違いを確認します。④二酸化炭素の場合の音を予測させてから吹きます。(音が低くなります。)
気体の音速
気体中を伝わる音は左の式ようになります。ρは密度です。Pは定数(気圧による定数)です。一般に密度が大きい気体ほど速さは遅く、密度の小さいものほど速くなります。ヘリウム・空気・二酸化炭素とだんだん重くなりますから、速度は遅くなり音が変化します。
気体の振動数には V (音速)= f(波長) × λ(振動数)という関係があります。
振動数について解けば λ = V ÷ f になります。人の声を出す気管の長さは決まっていますから、fの値は変化しません。音速Vが大きくなるほど振動数λは大きく(高く)なります。
実験2:骨伝導音を聞こう!(固体中を伝わる音)
自分の声をテープなどで聞くと変な声に聞こえます。これは普段自分の声は声帯から出た音が空気(気体中)を伝わり耳に入る音と、頭骨(固体中)を伝わる音が混ざって聞こえるからです。テープの声は空気だけを伝わって聞こえるからです。頭骨などの骨を伝わる音について実験します。
骨伝導音みたいな音
材料:薬さじ、タコ糸、紙コップ
骨伝導音に近い音をクラスに聞かせる方法です。スプーンにタコ糸をつけて叩きます。鈍い音しか聞こえません。紙コップをつけて叩くと、鐘のようになります。これはタコ糸(固体)伝わった音が紙コップから空気中に出されたためです。骨伝導ではありませんが一部固体を伝わった音です。
この実験は科学実験データベースの実験を引用しています。
骨伝導音
スプーンにつけたタコ糸に輪を作ります。人差し指を輪に入れて、そのまま人差し指を耳に入れます。そして叩きます。きれいな澄んだ音が聞こえます。骨伝導音です。
やはり耳から聞くので骨を伝わるという部分がピンとこない生徒もいます。そこで本格的な骨伝導音を聞きます。
ラジカセなどの音源にモーターをつなげます。割りばしに穴をあけ、モーターの回転軸に差し込みます。口でくわえると、音がしっかり聞こえます。耳を通さないので、これなら骨伝導と納得します。
実験3:いろいろ糸電話を作ろう
材料:紙コップ多数、針金、ばね、風船、クリスタルイヤホーン2
①針金電話:これは音質もさながら針金が曲がっていても聞こえます。自分の声も聞くことができます。②ばね電話:通話中にばねを伸ばして手を離すとインベーダーの効果音が聞こえます。③風船電話:糸電話より良く聞こえます。空気が音を伝えます。④クリスタルイヤホーン電話:圧電素子で音を電気信号にして伝えます。変わり種糸電話です。
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