偏光板の実験5連発:偏光顕微鏡づくり・岩石プレパラート・等粒状組織・偏光板作り・偏光万華鏡作り
偏光板を使った実験はとてもカラフルで、きれいなものです。実験を通して、実際に偏光板がどのように生活に役立っているかを知るきっかっけに、これらの実験を紹介します。
実験1:偏光顕微鏡を作ろう
偏光顕微鏡を使って岩石プレパラートを一度は生徒に見せたいものです。偏光板(8㎝四方数百円)さえあれば簡単!偏光顕微鏡の本来の使い道は岩石の成分の特定、プラスチックの結晶構造のひずみなどを調べることです。ここでは結晶の種類や作りの違いによって色が変わるということだけにします。
材料:偏光板、岩石プレパラート、顕微鏡
偏光板を一枚は円形に切る。それを接眼レンズの中に入れる。もう一枚は岩石プレパラートの下に置く、あとは顕微鏡で見ながら接眼レンズを回転させます。もちろん、鉱物を特定するにはもっときちんとした顕微鏡が必要です。しかし、偏光顕微鏡の仕組みを体験させるには充分ではないでしょうか。
実験2:岩石プレパラートの代用品
岩石プレパラートの作り方を紹介しているサイトが時々あります。しかし、作るには技術的にも難しい面があります。薄い岩石を金属用のやすりと紙やすりで、かなり薄くしましたが実用には難がありました。代用に尿素の結晶を使います。
材料:偏光顕微鏡、濃い尿素溶液、スライドガラス
濃い尿素液をスライドガラスにガラス棒で塗ります。結晶に変化したら、検鏡します。尿素はホームセンターの園芸用品売り場で肥料として売っています。実験後の処理も土に埋めるだけで済みます。
実験3:火山岩と深成岩の結晶の大きさの違いを尿素の結晶で調べよう
材料:偏光顕微鏡、濃い尿素溶液、スライドガラス
濃い尿素液を少量シャーレに入れます。一つは水で冷やし、もう一つはお湯で冷やします。お湯でゆっくり冷やした方は結晶が大きくなります。ただし、この実験は尿素液の濃度や量に非常に左右されます。また、気温によっては、いったん固まった結晶が溶けてしまったりもします。生徒実験ではなく、うまくできたものを写真提示するようにした方がよいと思います。
実験4:偏光板を作ろう
材料:PVAのり、プラスチックシート、ヨウ素液、厚紙、セロテープ
PVAのりをプラスチックシートの上で乾かします。乾いたPVAを8㎝四方位に切ります。ヨウ素液に浸して柔らかくします。引っ張り、長さが3~4倍に伸ばします。そのまま乾燥させます。厚紙に貼って完成です。(本来の偏光板は、4%ホウ酸溶液を入れてPVAどおしを架橋処理しPVAがお互いにくっついた状態にします。また、ヨウ素は紫外線に弱い為に保護フィルムを貼ります。)
左の写真が偏光軸(スリットの向き)を同じ方向にした時、右の写真は90°回転させた時です。細かい実験には不向きな面がありますが、偏光の説明にはやはり、実物を見せるのが一番です。海外支援で理科教育をする時にどうぞ、ということで、PVAのりも海外には持っていきたいですね
光は電磁波で振動をする波です。その光の中で偏光板はある一定の方向に振動している光だけを通すものです。左の絵を見てください。Aの偏光板は縦方向の振動の光を通します。Bは横方向の振動の光だけを通します。このように90°振動方向をずらすと、光を完全にシャットアウトできます。この性質を使い光を通したり、通さなかったりしてテレビやPCの画面は文字や絵を映し出すことができます。この網の性質をヨウ素分子が真っすぐに並ぶことで行います。
実験5:偏光万華鏡を作ろう
材料:偏光板、紙コップ、カッター、セロテープ、プラスチック(総菜のフタ)
偏光板を紙コップにつけます。プラスチック板にマジックで簡単な絵を描きその上にセロテープを何層かに貼ります。場所によって厚みが違うようにします。絵の枠に沿って切り抜きます。
2つの紙コップの間に絵をはさみ、紙コップを回転させます。このように偏光板は結晶構造の違いや、厚み、作られた時の力のかかり方などによって物質のひずみなどを見ることができるものです。一番最後の写真は手鏡の取っ手を偏光板にはさんだものです。作られた時の力のかかり具合輪見ることができます。この性質を使って、材料や製品の品質管理、糖度計などに利用されています。