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永久プレパラートの製作
当NGOでは、永久プレパラートと簡易顕微鏡を作成しエチオピアに送っています。なぜ、その二つなのかといいますと、エチオピアでは実験機材の不足から理科教育で実験をほとんど取り入れていません。教師も生徒も実験せずに理科を学習します。少しずつ機材も配備されましたが、地方では実験ゼロという学校も多くあります。顕微鏡は子供達が科学に引き込まれる実験の一つです。資金がありませんので手作りで少しずつ提供しています。細胞の観察に必要な試料をセットにして、管顕微鏡と一緒に送っています。下に永久プレパラートの作成方法をまとめました。ご覧ください。
永久プレパラートの作成
材料:麦芽糖水あめ、食酢、食紅102号、スライドガラス、カバーガラス、透明マニキュア、木工用ボンド、顕微鏡ツール
一般的な永久プレパラートは、試料を固定・染色し、封入剤(カナダバルサム+キシレンなど)で封入します。今回は非常に安い材料で長持ちさせます。まず、固定と染色を同時におこないます。食酢に食紅102号を少量とかします。もし溶けにくいようでしたら加熱溶解後ろ過をしてください。保存するので何日間か漬け込んでください。酢酸が細胞を固定し、食紅の塩基性色素が核に電気的に引き寄せられて染色します。*染色するものによっては細胞質まで染色してしまう欠点があります。玉ねぎの表皮・ツユクサの気孔などは問題なしです。


封入剤を用意します。麦芽糖の水あめ50㏄を水50㏄で薄めます。そこにうがい用のヨウ素液を10滴ほど加えます。麦芽糖の水あめは結晶化しにくい性質があり、ヨウ素の殺菌作用で腐敗を防ぎます。


染色した試料を封入します。カバーガラスもしくはプラスチックシートをかけて、マニキュアでカバーします。さらに速乾性のボンドなどで、その上からシールをしてしまいます。これで数年間は保存がききます。



麦芽糖水あめが手に入ればよいのですが、ない場合作ります。ジャガイモをすりつぶし、布巾でこします。デンプン液を加熱して、デンプンのりにします。そこに消化酵素(消化薬)を入れて保温します。透明な液状になったら、煮詰めて水あめにします。消化酵素が手に入らない時にはだ液で代用します。文章で書くと簡単ですが、エチオピアでは大変、苦労したやり方です。






尚、普通の砂糖で作った水あめでは、しばらくすると結晶化してしまい上の写真のように、見えにくくなります。これはショ糖と麦芽糖の構造の違いによるものだそうです。
耐久期間ですが、本当に永久とは言えません。しかし、数年間は何の問題もないようです。藻類の研究者はこれを使っているとのことです。
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